透析と低亜鉛血症

低亜鉛血症については、「低亜鉛血症とは」をご覧ください。

透析と亜鉛不足

細川らは1993年に慢性血液透析を受けた患者の血清亜鉛濃度が低いことを報告しています1)。また、エリスロポエチン*1(以下、EPO)抵抗性貧血の一因に亜鉛が関与している可能性についても指摘しています。福島も維持透析患者を対象に血中亜鉛濃度と貧血との関連を調査し、とくに血中亜鉛濃度とヘモグロビン(Hb)との間に強い正の相関が認められたことを報告しています2)
*1: エリスロポエチン製剤(赤芽球系前駆細胞に働き、赤血球への分化と増殖を促す糖蛋白質製剤)

さらに福島らは亜鉛不足がみられる透析患者(58例)の貧血に対し、亜鉛補充療法*2(亜鉛換算34mg/日)を実施することにより、投与開始後1ヵ月に赤血球数の増加、投与開始後3ヵ月まではヘモグロビン値の上昇を認め、貧血が改善したことを報告しています(図1)3)。とくに亜鉛投与群でEPO使用量の減量も認められました(図2)2)。図1において、ヘモグロビン値は6ヵ月後、12ヵ月後で減少していますが、この要因はEPOの減量に伴うものと鉄の不足によるもので、亜鉛補充によって造血が亢進し、鉄需要量が増加したためと考察しています。
*2: ポラプレジンク1回75mgを1日2回投与。

※: 注)国内において「低亜鉛血症」に適応を有する亜鉛製剤はノベルジン®錠のみです。

図1 亜鉛補充に伴う赤血球数とヘモグロビン値の上昇3)

図1 透析と低亜鉛血症

図2 EPO使用量の推移2)

図2 透析と低亜鉛血症

慢性腎疾患(CKD)における亜鉛不足と貧血

CKD患者では、亜鉛の吸収が阻害されることが報告されています4)。また、福島らの検討では、腎機能(e-GFR*3)が悪い患者ほど血清亜鉛濃度が低く(図3)、123名中62 名(50.4 %)の患者が59μg/dL以下の亜鉛不足の状態にありました5)
*3:推算GFR。血清クレアチニン、年齢、性別から計算される。スクリーニング、疫学研究において使用するのに適した1つの腎機能指標。

図3 腎機能と血清亜鉛濃度4)

図3 透析と低亜鉛血症

また、e-GFRが悪化したCKD患者では貧血の状態(RBC、Hb、Ht)が悪化していることも示されました5)

亜鉛補充療法による治療効果

福島らは、透析を受けていないCKDステージ4,5の患者で、血清亜鉛濃度が59μg/dL未満であった10例に対して亜鉛補充療法*4を行い、1ヵ月後に血清亜鉛濃度が上昇し及び3ヵ月後ではヘモグロビン値の改善が認められたことを報告しています5)
*4: ポラプレジンク1回75mgを1日2回投与。

※: 注)国内において「低亜鉛血症」に適応を有する亜鉛製剤はノベルジン®錠のみです。

ヘモグロビン産生と亜鉛

ヘモグロビン産生に亜鉛が関連することに関しては、亜鉛を核とするzinc finger protein*5が関連し、亜鉛不足によって、造血に関与する転写因子活性が低下してヘモグロビン産生が低下すると考えられています6),7)
*5: zinc finger proteinは蛋白質が亜鉛をしっかりと掴むために作られた、蛋白質中の堅くて安定な構造部分。


1) Hosokawa S, et al. :Nephron 65 :414, 1993.
2) 福島達夫:治療 91(臨時増刊号):77-82, 2009.
3) Fukushima T, et al. :Therapeu Apheresis and Dialysis 13 :213, 2009.
4) 福島達夫:日本臨床, 74(7):1138-1143, 2016.
5) 福島達夫ほか:亜鉛栄養治療 1(2) : 65-73, 2011.
6) Lee MS, et al. :Science 245 :635, 1989.
7) Suzuki H, et al. :EMBO J 23 :2544, 2004.

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